インライン型ワニス塗布装置 プロジェクト概要

株式会社安川電機様向け 自動化ソリューションの設計・実装・連携仕様

【画像:インライン型ワニス塗布装置 外観】

プロジェクトの目的と範囲

目的 (Objective): RFQ(見積仕様書)に基づき、既存の生産ラインにシームレスに統合され、実装済みプリント基板(PCB)に自動でワニスを塗布するインラインシステムを設計、製造、納入する。

主要スケジュール (Key Schedule)

工程 時期・期間
見積回答 7月25日
発注 8月下旬
装置製作 11月末希望
連動運転検証 12月初旬
装置搬入(ベトナム) 12月末

依頼範囲 (Scope of Work)

範囲内 (In-Scope)

  • 機械設計、電気設計
  • ラダーシーケンス設計(MPX & KV)
  • タッチパネル設計
  • 部品調達(弊社製品・塗布機器以外)
  • 装置組立、配線・配管
  • メーカー社内での試運転調整
  • 輸送、設置後の微調整
  • 各種図面・ドキュメント作成
範囲外 (Out-of-Scope)

  • ロボットティーチング(別途協議)
  • 量産適応時調整
  • テストワーク準備
  • 荷降ろし・構内運搬
  • 一次側配線・配管工事

装置の主要物理仕様

  • 装置外形寸法: W: ≤ 1000mm / D: ≤ 1300mm / H: ≤ 2000mm
  • 総重量: 297kg
  • 排気: 天井部に排気用ダクトフランジ(100mm)を設置

主要機構①:基板の自動搬送・位置決めシステム

コンベアの役割は単なる搬送だけでなく、ロボットが正確に作業するための精密な位置決めも担います。

【画像:コンベア幅調整・プッシュ機構の図解】
  • 自動幅調整: サーボモータ (SGMXJ-01AUA61A1) 駆動により、品種情報に応じて自動変更。
  • 可変速駆動: インダクションモータとインバータによる速度制御。
  • 確実な位置決め: ストッパ停止後、後方からプッシュ機構で押し当て。
  • 両面搬送対応: 基板の表面・裏面の両方に対応可能な構造。

主要機構②:ロボットによる高精度ワニス塗布

【画像:ロボットアームと塗布プロセスの図解】
  • ロボット: 安川電機製 GP7 マニピュレータ / YRC1000Micro コントローラ
  • エンドエフェクタ: スプレーバルブ + キーエンス製バーコードリーダ (SR-X300)
  • プロセスフロー: 2Dコードをスキャンし、YJ LinkサーバーのKanban IDと照合後に塗布開始。

システムの頭脳:制御・通信アーキテクチャ

制御の中核:デュアルPLC構成

  • Yaskawa MPX1310 (主機制御): 機械動作(コンベア、サーボ、I/O、安全回路)を管理。
  • Keyence KV-X500 (上位通信): YJ Linkサーバー(FTP)やMES-Gatewayとのデータ連携を担当。
【画像:制御・通信ネットワーク図】

MESへの生産実績連携

MES-Gatewayを介し、リアルタイムの生産データ(ファイルベース)を提供します。

  • 開始ファイル: 基板1枚の作業開始時に生成。
  • 終了ファイル: 作業完了時に生成。
  • ステータスファイル: 装置状態の変化時に生成。
  • アラームファイル: アラーム発生・解除時に生成。

主要技術仕様サマリー

項目 仕様
制御 Yaskawa MPX1310 + Keyence KV-X500
ロボット Yaskawa GP7 / YRC1000Micro
ネットワーク MECHATROLINK, Ethernet/IP, Ethernet
HMI Keyence VT5-W07 (7インチタッチパネル)
主要センサー SR-X300 (バーコード), LR-X100 (基板検知)
安全回路 二重化回路要件

まとめ

この装置はスタンドアロンの塗布機ではなく、安川電機のスマートファクトリーにおける完全に統合された一つのノードです。堅牢な機械設計とデュアルPLC制御を融合し、シームレスなデータ連携による自動化と可視化を実現します。